2015年3月24日火曜日

鉛温泉といえば、花巻だから宮沢賢治だし、高村光太郎だよ - 鉛温泉スキー場(岩手県)

平成3年1月3日滑走

若い頃、東北は仙台近辺に勤めていて、休みになると秘湯めぐりをしていました。
時間を持て余したせいですが、露天風呂を楽しむのは日本人だからでしょうか。

初めは宮城県内を中心でしたが、段々と県外へ遠征するようになって来ます。
特に岩手県は、何度も訪ね歩きましたが、この鉛温泉周辺もその一つでした。

最もこの温泉が一番有名になっただけでして、周辺は異なる温泉が多いのです。
例えば、街道筋の手前から、松倉、志度平、渡り、大沢と名湯が連続します。

大沢温泉の自炊部がひなびておりました
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こうして、最後の奥まった場所が鉛温泉になり、隣は愛隣館の新鉛温泉でした。
豊沢川の渓谷に沿って、温泉が豊富に湧き出しており、湯めぐりができるのです。

さらに、この界隈を有名にしたのは、田宮虎彦が執筆した小説のおかげでしょう。
タイトルは”銀心中”で、鉛温泉にあった理髪店からイメージを膨らませました。

実は、虎彦は、藤三旅館に一ヶ月も逗留して、この小説を執筆したといいます。
今現在も、この旅館は使用された部屋を紹介していて、宿泊も可能なんだとか。

映画化したほどの流行作ですが、作者自体はすでに忘れ去られてしまいました。
文庫本も残ったのはわずかに一冊ですが、やがては絶版さてしまうかもしれない。

でも、なぜ、この作家を覚えているかと言うと、小学生の頃に読んでいるからです。
”子別れ”と言う作品ですが、文章表現が巧みで盛り上げ方に痛く感動しました。

これがきっかけで本人を調べ初めたのですが、この作品は感傷的な気もしました。
他の作品も、代表作は私小説が主で、どうも四畳半的世界に没頭しそうです。

だから、未だ若かったせいもありまして、他の作品を読まずに済ませてしまいました。
さて、この温泉のある花巻なんですが、もちろん、詩人宮沢賢治のふるさとです。

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アメニモマケズ、カゼニモマケズ”という、没後に発見された遺作はご存知でしょう。
代表作とも言われますが、ファンタジーの童話の世界の方が自分は好きですね。

この鉛温泉スキー場だって、ゲレンデにこの賢治を思わせる名称がついています。
銀河コースやら、ポランの広場ですが、”利銀河鉄道の夜”など作品からでした。

それで、自分も”注文の多い料理店”を読んだりして、感銘を受けました。
そのせいもあってか、この花巻にある宮沢賢治記念館も二度訪ねています。

ところで、詩集”智恵子抄”で有名な高村光太郎記念館も、この花巻にあります。
戦災で焼け出された光太郎は、七年間、ここで独居自炊の生活を送りました。

●あどけない話
智恵子は東京に空が無いといふ。
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間(あいだ)に在るのは、
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとうの空だといふ。
あどけない空の話である。

この詩は、特に有名なのですが、職場で臨席の若い衆に聞くと知りませんでした。
もう、高村光太郎と言う詩人ですら、過去の人になってしまったのかもしれない。

学校で習わなかった感じで、国語に登場する作品に流行り廃れがあるのでしょう。
というわけで、この花巻は意外と観光名所もあり、四季折々に楽しめるのでした。

どちらかといえば、文学散歩のような観光名所めぐりが、似合うかもしれません。
それでも、ウインタースポーツであれば、温泉とセットで鉛温泉スキー場が楽しめるでしょうし、車で来ているのなら雫石周辺のスキー場も回れますので、ここは白猿の湯といわれた鉛温泉に、ぜひ投宿していただきたいと思うのでした。


おまけ:
宮沢賢治のお父さんが利用したとパンフにあります
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クリックで拡大します
注:コースマップ出典元→オールスキー場完全ガイド’95(立風書房)


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