2015年6月11日木曜日

ケネディ大統領が尊敬した鷹山公は、この白鷹山から名が取られたんだって - 町営白鷹スキー場(山形県)

平成4年12月29日滑走

伝国の辞

一、国家は先祖より子孫へ伝え候国家にして、
        我私すべき物にはこれ無く候(そうろう)
一、人民は国家に属したる人民にして、
        我私すべき物にはこれ無く候(そうろう)

一、国家人民の為に立たる君にて、
        君の為に立たる国家人民にはこれ無く候(ろうろう)

(原文はWikipedia日本語版より)

白鷹町は、江戸時代の頃では、上杉十五万石米沢藩の領内にありました。
戦国時代は百二十万石の大身だったのですが、徳川政権下では窮乏します。

家臣団を減らさず、そのまま引き連れて引越したのが原因で、財政難でした。
このため、下級武士は困窮を極め、日雇人足までして収入を稼ごうとしました。

一方、藩の財政も商人から借金を繰り返す始末で、返済の当てもありません。
結果、打ち続く凶作と莫大な借財から、幕府へ藩の返上まで考え始めました。

徳川御三家の尾張藩に相談したのですが、思いとどまるように諭されています。
なんとも落剥した戦国大名の末裔ですが、それこそが名君誕生の背景でした。

それは、第九代藩主の上杉治憲(鷹山)ですが、藩政改革の功績は大きい。
でも、その偉業が日本でつとに知られるようになったきっかけは、海外発でした。

今から半世紀以上の昔、ケネディがアメリカ合衆国大統領に就任しています。
世界のリーダーとして42歳という若さもあり、日本でも大変人気がありました。

ある日、日本の記者団が、ケネディ大統領と懇談する機会に恵まれました。
その際、自分が尊敬する日本人は上杉鷹山であると、記者団に語ったらしい。

ところが、この記者団の中で上杉鷹山を知っている者は、誰もおりません。
なぜ、ケネディが鷹山のことを知っていたのか、これが日本で話題になりました。

そこで、この背景ですが、明治の思想家、内村鑑三の著作が先行しています。
日本を海外へ紹介しようとした鑑三は、著作で五人の日本人を取上げました。

その中には、この上杉鷹山も含まれ、著作はアメリカでも読まれていたようです。
つまり、冒頭の「伝国の辞」こそ、彼をして感動させた本質だったのでした。

鷹山は、家督を譲る世子の治広に、藩主の心得を伝授しようとします。
これを、分かりやすく現代語に意訳すると、次のようになりますがなるほどです。

一、国(藩)は先祖から子孫へ伝えられるものであり、我(藩主)の私物ではない

一、領民は国(藩)に属しているものであり、我(藩主)の私物ではない

一、国(藩)・国民(領民)のために存在・行動するのが君主(藩主)であり、
  ”君主のために存在・行動する国・国民”ではない

これって、みなさんも、なんとなくどこかで見聞きしたような覚えはないでしょうか。
実は、日本国憲法の前文にも似ていて、元々はリンカーン大統領の演説です。

大統領は、奴隷制の存続を巡って起きた南北戦争の最中に演説をしました。
ゲティスバーグ演説と言うのですが、この一部が憲法にも引用されているのです。

 そもそも国政は、
  国民の厳粛な信託によるものであつて、
   その権威は国民に由来し、
    その権力は国民の代表者がこれを行使し、
      その福利は国民がこれを享受する。

人民の人民による人民のための政治ともいいますが、正式には上の通りです。
これって、上杉鷹山の伝国の辞が伝える意味合いと、相通ずるものがあります。

つまり、伝国の辞は、現在の民主主義の理念に到達していた概念なのでした。
というわけで、今も尊称される鷹山公はスキー場のある白鷹山から取られました。

山頂には、福満大虚空蔵尊が建立され、鷹山公の揮毫した扁額を残します。
地元の住民にとって、農業・養蚕の神として山岳信仰の対象とされて来ました。

一方、昨年のことですが、この「伝国の辞」と故ジョン・F・ケネディ元米大統領の就任演説の一節を刻んだ二基の石碑も山頂に建立されたほどでして、英語で「国家があなたに何をしてくれるかではなく、あなたが国家に何ができるかを問おうではないか 大統領ジョンF・ケネディ 上杉鷹山の称賛者」と記されて、ケネディ大使のサインまで添えられた事実から、この逸話は本当に本当であったのだと思うのでした。


おまけ:
鷹山の伝国の辞とケネディ元米大統領演説の碑建立 山形・白鷹山
グーグルドライブはこちらから

グーグルドライブはこちらから
グーグルドライブはこちらから

歴史上の有名な名言で学ぶ英語「administer(治める)」

伝国の辞


いいねと思ったら、二つポチっとね!
にほんブログ村 スキースノボーブログへ
にほんブログ村 スキースノボーブログ スキー場・スノボー場へ




    

0 件のコメント:

コメントを投稿