2016年6月7日火曜日

道産子にとって、何でもないようなお寺の造作を見て感動するんだな - 内地の木造寺院(全国津々浦々)

32番札所「吉祥院」(札幌市北区)

北海道に生まれた自分には、木造寺院をかの地で見るのは珍しいことでした。
冬の季節が長く続き、ところによっては一年の半分が雪に閉ざされてしまいます。

木造の家屋は、厳しい北海道の冬を過ごすには、凍てつくすきま風も入りやすい。
縁側を雨戸で締め切っても、寒さが忍び込んで、障子で仕切られた部屋も冷蔵庫。

毎日、毎日、雪が降り続く厳冬期ともなれば、雨戸を開けることなどできません。
寺院建築ですと、本堂に廊下があって当たり前ですが、雪が吹きすさんでしまう。

しかも、北国の冬はお日様も低くて、晴れの日も少ないので、室内は暗くなります。
本堂の中は、障子明かりだけですと、薄暗く、寒さをいっそう感じるものですよ。

がらんとしていて、ことさら寒さも募りますので、寺院建築は不利だと思うのです。
このためか、仮に木造建築のお寺があったりしても、内地の雰囲気とは違います。

本堂に無理して廊下をこさえたとしても、障子窓はガラス張りで防寒していました。
冬になれば、ガラス窓の外を透明なビニールで覆って、寒さ除けとしたりもします。

ストーブが本堂の中にでんと置かれ、内地の寺院とは様相が全く違うのでした。
つまり、建物自体が、防寒対策には抜かりのないような工夫が見られるのでした。

瑞祥山極楽寺(東神楽町)
お寺カフェだって

まあ、それだけ、内地の仏教建築様式が、道産子にとっては物珍しかったのです。
だからと言うわけでもないのですが、内地へ来てからはお寺めぐりを始めました。

それで悟ったことは、内地の蒸し暑い季節を乗り越える、夏向きの造作なのです。
夏時分、本堂の障子と言う障子を開け放てば、夕方には涼しい風も吹きましょう。

他方、梅雨時分には湿気も家にこもりがちですから、風通しは欠かせないのだ。
日中は障子を開けて外気を取り入れ、屋根瓦からは湿気も抜けていくのが一番。

北海道には梅雨なんか存在しませんから、ジメジメする季節など知りようもない。
こうして、暑さや湿気を時期を乗り越える建築様式になったのは、むべなるかな。

一方、瓦を葺いた屋根は、雪の多い地方だと、不向きといわれているのです。
瓦屋根は、重量もがあり重たいのですが、これに積雪で雪が積もったらどうなるか。

まるでゾウさんが乗ったようで、雪下ろしをしないと、家屋が潰れてしまいかねない。
こうして、北国の雪下ろしは、家の倒壊を守るために欠かせない日課になります。

一方、真冬になると、屋根に積もった雪は、昼に融けて夜に氷るのを繰り返します。
つまり、瓦の間に挟まった雪や氷は、じわじわ隙間を空けていく原因になるのです。

これがために雨漏りしやすいのですが、内地ではそれほど氷点下に下がりません。
ですので、東北などで瓦屋根の建築物は、まだ見受けられるということでしょうか。

一般民衆は、一生茅葺屋根の家に住んだ時代だし、瓦自体が特別だったのかも。
それでも、青森県や北海道の函館周辺でも、瓦屋根の古い寺院は多く見かけます。

まあ、北海道は開基百五十年ですから、寒冷な後発地ゆえに、未だ寺院も新しい。
モルタル作りだったり、コンクリート壁の近代的寺院だったりして、風情はないわな。

というわけで、本当は瑠璃光寺五重塔の記事でも書こうかと思い、筆を取りました。
ところが、北海道のお寺の話や建築様式に終始して、そこまでたどり着けそうもない。

それだけ、寒冷地ゆえに北海道の建物の建て方は違うんだよって言うことで、ならばこそ、パウダースノーでゲレンデも楽しめる土地柄ということですから、そこを話の落ちにしておこうかとも思ったのでした。


おまけ:
鎌倉五大堂 明王院
ハイキングで自宅から歩いた

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