2016年8月27日土曜日

別にラムサール条約に選ばれなくても、かけがいのない北海道の自然遺産なんだよ - 松山湿原(北海道美深町)

松山湿原とえぞ松沼

ラムサール条約は、釧路湿原が日本で最初に指定されて、知られるようになりました。
この条約は、正式名称が長ったらしいので、締結したイランの地名を採用しています。

条約正式名称:
Convention on Wetlands of International Importance Especially as Waterfowl Habitat
日本語:特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約

つまり、水鳥が生息する重要な湿地の環境保護が目的なのは、すぐに分かります。
ただ、指定に当っての条件が分かれていて、水鳥に関係せずとも指定できるのです。

先ず、釧路湿原は丹頂鶴の生殖地だからこそ、指定されたといっても良いでしょう。
かつては絶滅したと考えられたのが、大正13年に、この湿原で再発見されています。

数は十数羽に過ぎず、広大な釧路湿原が人を阻んでいたから生き延びていたのか。
日本人にとって鶴といえば、この丹頂を指しますが、昔から大切にされた生き物です。

一方、かの有名な尾瀬湿原は、このような水鳥の生息しない高層湿原の指定です。
北海道の雨竜湿原も負けじ劣らず、美しい高層湿原ですが、水鳥には関係ない。

つまり、絶滅の恐れのある動植物が生育・生息する湿地まで、範囲が広がりました。
まあ、高層湿原なら高山植物が対象ですが、ヘビで指定を受けたエリアもあります。

それは、沖縄県久米島でして、キクザトサワヘビが棲息しているからなんだそうです。
以来、日本各地で五十箇所が指定されてまして、その内、北海道は十三ヶ所です。

撮影ポイントになる沼は三つ

これ以外にも、北海道には色々な湿原がありますが、土壌が泥炭のせいだから。
気候が亜寒帯になりますので、枯れた植物が腐葉土にならずに、残ってしまう。

これが堆積したのが湿原で、泥炭はピートとも言い、ウイスキーには欠かせない。
煙で燻したような香り付けになりますが、だから、マッサンがこの泥炭を求めたのだ。

余市に蒸留所を開いたのも、なるほどと納得できますが、この泥炭は成長が遅い。
一年でたった一ミリしか積もりませんから、湿原になるまで気が遠くなりそうです。

だから、学術的に貴重な湿原なら、条約にわざわざ指定される必要もないでしょう。
その一例として、道北の美深町にある松山湿原を挙げますが、秘境に近い印象。

面積で25ヘクタールと小規模ながら、山頂に広がる湿原に吹き渡る風が心地よい。
地味の乏しい土壌に耐えて成長した松の木は背丈が低くて、盆栽を見るようです。

一方、花々は、自分達が訪れた時、夏から秋に代る端境期で、多くはありません。
それでも、タチギボウシ、アキノキリンソウ、ホロムイリンドウなどが見かけられました。

しかも、標高八百メーターと低山なのに、高山帯のハイマツすら自生しています。
いかに道北で緯度が高く、寒冷な気候だといっても、生育条件が厳しいからでしょう。

そんなことを思いつつ、帰宅して調べましたら、ここは、知る人ぞ知る湿地のようです。
 つまり、自然環境保全地域に加え、日本の重要湿地の五百にも選ばれていました。

登山道には、エゾトリカブトの花

というわけで、周辺で滝めぐりまで楽しめる観光スポットなのに、こじんまりして良い。
雨霧の滝、女神の滝と言って、規模はさほどなくても流れ落ちるさまに清涼感を感じられますし、近くには「平成の名水百選」で選ばれた「仁宇布の冷水」まであるのでのどを潤しながら、トロッコ王国でトロッコに乗車したりして、ぜひ、訪ねてもらいたいものだと、お勧めしたくなるのでした。


おまけ:
展望台からの仁宇布方面
雨降りの滝
女神の滝
かろうじて、タチギボウシを撮影
まだ、アジサイが見ごろなんだ

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