2016年9月8日木曜日

スーパーの目玉商品、一切れが百円になったのも、孵化放流事業が軌道に乗ったからなんだ - フォレストピア・うたのぼり サケの里(北海道・枝幸町)

回遊池には、鼻曲がりの鮭が泳いでいたぜ

この資料館は、係員の方が常駐しておらず、まったくの無人になっていました。
入り口を入れば、明かり窓があるので、かろうじて受付の様子は分かります。

そこに入館者の受付記録が、備え付けてありましたので、先ず記帳をしました。
何気なく、パラパラとめくってみますと、一日、二三組の来訪者がいるかどうか。

ちゃんとトイレもあるし、合併で枝幸町となったので、その町のパンフも置いてある。
放り出したような施設にもみえず、意外に、観光客向けに配慮が見られました。

この歌登の人口は、三千にも満たないし、最北端の宗谷支庁にあるエリアです。
北海道の玄関口、千歳空港に近い、さけのふるさと千歳水族館とは分けが違う。

グーグルドライブはこちらから
中ページもご覧ください

だから、孵化場の設備がいかに町の自慢としても、訪問者も限られてしまうのか。
それでも、訪問者は、道内の人はいなくて、みんな内地(本州)の方ばかりでした。

一風変わっているのは、周辺にタイ人のツアー客が宿泊する観光ホテルのある点。
うたのぼり健康回復村ですが、テレビのバラエティー番組でも紹介されたほどです。

そう言えば、タイの人もサケのお刺身が大好きなら、この施設に興味があるかも。
ただ、彼らが雪ではしゃぎ回る冬の季節には、残念ながら閉館してしまいます。

つまり、開館は鮭が遡上し始める八月から、わずか三ヶ月間のオープンなのです。
まあ、期間限定は残念ですが、冬場に無人かつ暖房もないのなら、無理ですね。

それで、資料館の前に、鮭の遡上する母川から、水の引かれた池がありました。
この水の透明度といったらないのですが、鮭の群れが、悠々と泳ぎ回っております。

中には、鼻の曲がりだしたオスもいまして、遡上する時期だと思わせてくれました。
しかし、開館していることは知っていましたが、たったの三ヶ月とは思いもよらない。

加えて、この北見幌別川水系のパンケナイ川は、歌登地区の水道源なのですよ。
小川ほどの川幅しかないのに、豊富な湧水があるからこそで、水質は折紙つき。

つまり、サケが生まれた川を下り、時を経て遡上できるような環境こそ、望ましい。
この川が、最高の条件なのは間違いありませんが、人の手で放流されるからです。



生まれ故郷を遡上するサケを捕獲して、採卵・孵化させる事業は非常に重要なのだ。
既に明治の頃から、サケを採り尽くしてしまわないかという、危機感も生まれました。

こうした中、北海道開拓史で働く伊藤一隆が、サケのふ化事業を成功させました。
これが有名人のご先祖様で、中川翔子こと、しょこたんの高祖父だとは驚きです。

NHKのTV番組、ファミリーヒストリーでも紹介されましたので、見た人もいるでしょう。
千歳水族館には展示コーナーもあるし、有名なインディアン水車も提唱した人です。

そして、この方が奉職したのが、日本で始めて開設された千歳中央ふ化場でした。
以降、一世紀以上の歴史で,人工ふ化放流技術は格段に進歩を遂げています。

まあ、年間で数千万匹もの漁獲高ですから、日本の水産資源として欠かせない。
というわけで、サケの切り身一切れ百円のセールスも、ふ化事業なくして語れない。

かつて、サケは、船団形式の北洋漁業が活躍する「採る漁業」が、中心でした。
それから、二百カイリ問題などで、国際情勢における資源環境の変化もあって、いま、北海道でのサケ漁の主流は定置網に切り替わっており、ご家庭の食卓をにぎわせているものも、日本の河川でふ化放流されたものが大半であるのなら、こういう施設を見学しながら、育てる漁業を考えてみるのもいいことではないかと思うのでした。


おまけ:

     

0 件のコメント:

コメントを投稿