2017年6月6日火曜日

そうめん文化だから、この島は本土との交流が中心で栄えてきたって言うこと - 寒霞渓(小豆島・香川県)

寒霞渓ロープウェイ
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普通、”かんかけい”とルビが振ってあれば読めますが、そうでないと読めません。
自分も、母親から教えてもらったので覚えたのですが、幼稚園ぐらいの時でした。

まだ、家庭にあるテレビも白黒が主流の頃、何の番組だったかは覚えていません。
谷間の中をぐんぐんグンとロープウェイが登っていく風景が、画面で流れていました。

そして、その風景から母親が、”かんかけい”という地名なんだと話してくれました。
当然、かな文字がうろ覚えぐらいの歳ですから、漢字など知ろうはずもありません。

ただ、幼児の記憶というのは、印象が強ければ強いほど、忘れられなくなります。
後年、漢字の方が追いかけて来て覚えましたが、書けるには至りませんでした。

つまり、読みだけは忘れずに覚えてきたのですが、漸く還暦を目前に訪ねました。
だから、半世紀も前に覚えた地名を、生きているうちに訪ねられたのが格別です。

それで、この寒霞渓は国指定の名勝で、日本三大奇勝の一つになっています。
本当は紅葉や桜のシーズンがベストですが、五月連休だったので新緑の季節。

それでも、ところどころにツツジの花が点々と咲いているのが、緑に映えて美しい。
他には、妙義山(みょうぎさん)もありますが、既に訪ねていますので、残りは一つ。

それは、大分県の耶馬渓(やばけい)ですが、九州まで旅行するとしんどいなあ。
まあ、とりあえず母親の記憶をたぐるかのように、小豆島へ旅ができて良かった。
   
     
そして、生まれて初めて、”かわらけ投げ”を楽しむ男性を見かけてしまいました。
小さい素焼き皿五枚で二百円もするのですが、これを谷間に投げ込むのです。

この遊びは、京都の神護寺が発祥だといいますが、ここも、よく知られております。
谷に向かうと、目の前の遠方に鉄の輪があって、そこを通すように投げるのです。

器用に投げているとは思いましたが、風に乗せて飛ばしても、なかなかに通らない。
自分的には、落語のネタ「愛宕山」を見て知っていましたが、これが本物なんだ。

それで、ロープウェイ山頂駅そばのレストランでは、名物のそうめんを賞味しました。
香川県なら、うどんのはずですが、そうめんは、四百年の歴史がある伝統の食材。

だから、小豆島は香川県でも、うどん文化にあらず、そうめん文化だということです。
そして、奈良の三輪、兵庫の揖保の糸、長崎の島原と並ぶ、一大勢力なのだ。
   
    
至る所で小規模な素麺の工場を見かけましたけど、圧巻は中山の千枚田です。
棚田を縫って集落の上部へ上り詰めると、手作り素麺の壁書きを見かけました。

こんな山奥のところで、素麺を手作り生産している自営業の方がおられるのです。
これだけの人が生業に携わっておられるとなると、うどんじゃなくてそうめんなのだ。

確かに小豆島はうどん屋さんの数も少なくて、四国の香川と違いを実感しました。
というわけで、南北朝の時代から、小豆島は本土との接点が強かったようです。

このため、北朝から南朝方に寝返って戦った武将”飽浦信胤(あくらのぶたね)”の伝承も小豆島に残されており、この話から安田踊りと言う盆踊りまで生まれているのですが、この寒霞渓の頂上一体は、それに関わりのあった星ヶ城という中世の山城でもあって、今はたまさか香川県に属しているだけなんだという感慨を、新たにしたのでした。


おまけ:
中山地区にある製麺所の情報が分かりました!
ふるさと納税の謝礼品を提供する事業者のようです。

 有限会社 船波製麺所
 連絡先 0879-75-1823


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